2024-10-15
《『ぼくらの「アメリカ論」』をめぐって》をめぐって
10/13(日)に雨風食堂にてトークイベント《『ぼくらの「アメリカ論」』をめぐって》を開催しました。お集まりいただいた皆さま、ご協力いただいた皆さま、そしてゲストの皆さま、忙しい10月の連休にありがとうございました。
『ぼくらの「アメリカ論」』(夕書房)著者の青木真兵さん、光嶋裕介さん、白岩英樹さん、そして夕書房の高松夕佳さんまでお招きして、書店発売直前の書籍を手に取って直接お話しできる貴重な機会となりました。
昨年8月、当店でのトークイベントの日がきっかけで青木さんの呼びかけで始まったWeb連載が1年を経て本になり、また皆さん揃って同じ場所で無事に開催できたことが、ありがたく不思議で、幸せなことだと改めて感じます。
一件一件、ご予約をいただいては返信しながら、皆さまの中で普段からことさらに「アメリカ」のことを考えて暮らしている方はどれだけいらっしゃるだろうと率直に思っていました。それでもお三方の「アメリカ論」なら聞いてみたい、読んでみたいという信頼と期待のもと、お集まりいただいた方も多かったのではないでしょうか。
私自身はWeb連載当時から、そしてこのトークイベントが決まってから改めて、連載全体を通して繰り返し読んでいたのですが、読めば読むほど、考えれば考えるほど、掴めるどころか却って膨張して霧散していってしまうような感覚がありました。三者三様、それぞれの見つめるアメリカはどこまでもそれぞれのアメリカで、一冊の本に収まっているのが不思議なくらいです。
ソローの小屋の三脚の椅子に座って対話するお三方の姿を想像して読み始めてみたら、その三脚の椅子の位置によって形成される三角形は予想外に大きく、というよりきっと椅子に座ってなどおられず、バトンは回し合いながらもその視点は中心ではなくそれぞれの方向を向いて、しかもそれぞれに遠く広がっているのです。バトンを受け取るや否や全力疾走、飛翔したかと思えば地面に引き戻され、時には地中にまで潜り、かと思えば幻想的な建築物が広大な大地に屹然と建ち上がり…さらにその舞台もアメリカという国ができるはるか昔から第二次世界大戦時、現代までとダイナミックに移り変わります。
とても大きな主題に向き合うリレーに翻弄されつつ必死でついて行きながら、「アメリカ」について考えることを通して翻って日本のこと、他の国々についても同時に考えざるを得ず、さらに国とは、人間とは、と問いは一層大きくなり、波のように自分に返ってきます。
限られたトークイベントの時間の中でも、ひとつひとつの問いに真摯に向き合い、最大限言葉にしようとされる姿に、この連載においてどんな姿勢でリレーをされていたのかが現れていた気がします。
そしてトークの最中も話が限りなく膨らんで行こうとする時、時折高松さんがピシッと小さく鋭く軌道修正される様子が垣間見えまして、高松さんがいらっしゃってこそこの一冊が完成するのだなとしみじみ感じたことでした。
いつの間にか真っ暗になっていたのに気づかないくらい、濃密な時間でした。
今回、お申し込み時の本のご注文の比率が通常よりも少なかったのは、難しそうだったり、アメリカは自分に関係がないかも、と思われているのかな?と勝手に推測していましたが、トークが終わった後には注文を保留されていた方も次々と本をご購入され、在庫はたった1冊になってしまいました。(サイン本です!)
最後に皆さんで記念写真を。(いいお顔でありがとうございます!)
大統領選を前に、目の前のイスラエルとガザのことと関連して、今まさにアメリカについて考えたいという方もいらっしゃれば、まったく違う理由の方も、そして全然わからないし難しそうだけど勇気を出して…と申し込まれた方もいらっしゃったと思います。
でもこうして直接著者の方々とお会いして、話を聞いてみて、ならばと本を手に取ってみて、ひとりなら読まなかったかもしれない本を読んで、これからの世界が少し拡張したり、見えなかったものが少し見えるようになったりしたら、楽しいですよね。
皆さま、あらためまして昨日はお会いできて嬉しかったです。
本当にありがとうございました。またお会いしましょう!
私の手元にもイベント当日に到着しました。
凛とした装丁がとても素敵です。
打ち上げごはんの準備をものすごく頑張ってくれた食事担当の夫にも感謝を。
撮影協力は服部麻子さん、ありがとうございました!