2024-11-27
齋藤美衣さんのお話し会を振り返って
早くも三週間も前のことになりますが、去る11月3日に「庭に埋めたものは掘り起こさなければならない」(医学書院)刊行記念として、著者の齋藤美衣さんをお招きしてトークイベントを開催しました。
記念すべき一冊めのご著書の最初のトークイベントで遥々高知までお越しいただいた美衣さんにも、県内外からご参加いただいた皆さまにも、改めて感謝の気持ちをお伝えしたいです。お知らせの期間が短かったにも関わらずお席は満席となり、イベント当日を迎える前に予定冊数も完売しました。そして、イベント開催の直前に完成した第一歌集「世界を信じる」も、急遽直接スーツケースで(!)お持ちいただけることになったのですが、こちらもイベント終了後には無事にすべて旅立って行きました。
どちらもお求めいただいた方におまけにと、美衣さんがなんと夜なべをして手作りされたZINE「おいしいものでもどうぞ」を持ってきてくださり、さらには店名にちなんで「雨風」を入れた短歌を手書きで一枚一枚したためられた栞まで、人数分作ってくださいました。
(手縫いで製本まで…)
こういったことのひとつひとつから、そして丁寧に書かれた美しい一文字一文字からも、美衣さんの真摯なお人柄が伝わってくるようでした。
本の内容についても、トークについてもその通りで、美衣さんがまっすぐに言葉を選び出される様子を、参加者の皆さんが固唾を呑んで見守られていたように感じました。
そして、それと同時に不思議と感じていたのは会場のあたたかい空気です。
美衣さんが経験されてきたこと、本に書かれている内容は、事柄を見れば壮絶で痛みを伴うものです。読んでいるだけでも痛みを感じるのですから、小さな体で、たった一人ですべてを受け止め続けた美衣さんの痛みはどれほどだったかと思います。世界にひとりぼっちだった、その気持ちも切々と伝わってきます。
それでも、本を読みながらすぐに私が感じ始めたのは「信頼」でした。
まず私はこの人を信頼していい、という安心感と共に読むことができたこと。
それは、本の方から伝わってきたのが、恨みや憎しみではなく、むしろ信頼のような気持ちだったからではないかと思うのです。読者への、世界への信頼、あるいは愛のようなもの。
淡々と整然と、あまりにつらい出来事が書かれていても、美衣さんが世界をもう一度信じ直そうとしていることが伝わってくるからか、不思議なぬくもりも同時に感じている、不思議な読書体験でした。そんなことを思っていて、ほぼ同時期に刊行となった初の歌集のタイトルが「世界を信じる」だと知った時の感動たるや。
ずっとそばにいる小鳥のように、美衣さんの友達でいてくれた短歌というもの。そして、封印していた大切なものを一緒に掘り起こしてくれた散文というもの。その両方を形づくる「言葉」との信頼関係のようなものが、どちらの本からも、お話をしている最中にも、ずっと伝わってきました。
お話会の後のサイン会も、その後のお茶の時間も終始和やかで、参加者の皆さんの笑顔が印象的でした。
本を読んでいる時から、この会のテーマ「傷を持ちながら、生きることを続ける」について、そして「回復」ということについてずっと考えていたのですが、「回復」というその字の意味とは裏腹に、心についた傷は、決して元通りになど、なかったことになどならないのだと思います。その意味では回復ということはあり得ない。けれど、個人的に気に入っているのは「ふく」という読みが含まれている点です。「膨らむ」や「祝福」の「ふく」を思い出し、ふと「回復」とはそういうことなのではないか、と思ったりしました。元通りになる「回復」などしなくても、むしろ傷は傷のままであっていいし、傷があるのにないことにしなくていいし、けれど傷はそのままに、ぺしゃんこになった心がもう一度ちょっと膨らんでみることはできる。誰かがそうして膨らむ様子を見る時、あるいは祝福される様子を見る時、人は一番癒されるのではないか。参加者の方からの質問に答える形で、しばらく「死にたい」がきていないと、そんなことは初めてで、それはとってもいいものですね、と美衣さんが微笑んだ時の参加者の皆さんのお顔を見て、そんなことに気づいたのでした。
デザートタイムにはほとんどの方が残られました。デザートをご用意している間、テーブルのセッティングは完全にお任せしていましたが、皆さんご協力いただきましてありがとうございました。こんなに大人数で輪になってお茶をしたのは初めての体験でした。
お守りのような美衣さんの字。
記念すべき最初のサイン会でした。
+++
今回のイベント中の撮影協力は@kettle_photoさんでした。
ありがとうございました!
2024-10-17
『庭に埋めたものは掘り起こさなければならない』刊行記念
傷を持ちながら、生きることを続ける
この本の著者齋藤美衣さんは、自閉スペクトラム症の傾向に加えて、急性骨髄性白血病、摂食障害などの経験を重ねてきた方なのですが、自殺未遂からの精神科病院への措置入院を機に、「もう書く以外に生きる道はない」と決意し、本書の執筆を開始されました。
多くの人が傷を抱えながら生きる現代、それでも生きることを続けるとはどういうことでしょうか。回復とはどのようなことなのでしょうか。
本イベントでは、みなさまとの対話を大切に生きることについて考えて行きます。
庭に埋めたものは掘り起こさなければならない
齋藤美衣
2,200円 (本体2,000円+税)
出版社:医学書院
A5/216頁
978-4-260-05766-0
壮大な勇気をもって「自分の傷」を見ようとした人の探求の書。
自閉スペクトラム症により世界に馴染めない感覚をもつ著者。急性骨髄性白血病に罹患するも、病名が告知されなかったことで世界から締め出された感覚に。周囲の期待に応えて残る人生を終える予定だったが、白血病は寛解し、「生き残ってしまった」なかで始まる摂食障害と、繰り返し見る庭の夢。しかし、「もうそのやり方では通用しないよ」と告げに来るものが……。壮大な勇気をもって自分の「傷」を見ようとした人の探求の書。トラウマと回復についての示唆を与えてくれる。
【この本を読もうとしてくださっているあなたへ】
2022年の春のこと。わたしは主治医の勧めでカウンセリングに通い出した。初回、カウンセラーから「なぜカウンセリングに通おうと思ったのですか」と聞かれた。そのときわたしは「合法的な安楽死がないから、仕方なく」と答えた。ひどい答えだと自分でも思った。でもこれが偽りない実感だった。
わたしは毎日やってくる「死にたい」に対峙する気力ももうほとんどなくて、つらくなく痛くなく早く死んでしまいたかったのだ。そのときわたしがいちばん欲しかったのが、合法的な安楽死だった。今思えば、わたしはぎりぎりでもうどうしたらいいのかわからなかった。
この本は、なぜわたしに「死にたい」が毎日やってくるのか、その理由を探すために、目的地も見えぬなか歩み出した旅の記録だ。わたしには書くという作業が必要だった。必要というより必然だった。書くことを通してでしか、〈自分〉という未踏の地に足を踏み入れる勇気を保つことはできなかった。
そしてわたしはこの本を、半分はわたし自身のために書いたけれど、もう半分は今この文章を読んでくれているあなたのために書いている。これはわたしの物語だが、同時にあなたの物語でもある。
この本を書くことを通じて、わたしは何度も世界と新しく出会いなおした。今もそれは続いている。「世界と出会い直す」ということは、「わたしと出会い直す」ということだ。この本を書きながら、わたしはわたしを何度も見つけ、確かめ、抱きしめた。この作業はわたしのものではあったが、同時にこの本を読んでいるあなたのものでもあると思っている。
どうか、世界と、自分と出会い直すこの旅に、あなたも伴走してもらいたい。今、そう願っている。あなたがいればとても心強いから。もしあなたがかつてのわたしのように、苦しさの中でどうしたらよいかわからなくて途方に暮れていたとしたら、ぜひわたしと共に旅に出てほしいのだ。その過程で、もしあなたがなんらか「世界と出会い直す」ことができたならば、この記録を残してきた者として、これほどうれしいことはない。
— 追記 —
トークイベント当日、11月発売の齋藤美衣さんの初めての歌集「世界を信じる」も直接お持ちいだけることになりました。ご希望の方はご購入いただけます。
「はじめて短歌を作ったのは十四歳でした。白血病の治療で入院中のことです。成人まで生きられないと思っていたわたしにとって、その時から短歌は唯一の友達のようなものでした。以来ずっと歌に頼ってきたように思います。
はじめて歌を作ってから、今年で三十四年になりました。十四歳から現在に至るまで長い晩年を生きていたような感覚がありましたが、そんな中でもわたしは確かに生きて歌を作ったのだと実感したとき、作品をまとめたい、歌集を刊行しようと思いました。
三十代はじめの二〇〇七年から二〇二四年までのおよそ十七年間の作品をおさめました。
この本をお手に取ってくださるならば、こんなにうれしいことはありません。」
–齋藤美衣さんより
斎藤美衣歌集『世界を信じる』
2,970円(税込)
典々堂
まっすぐな心がまっすぐに世界を見つめる。生きるとは、手足を動かすこと。歩いて、食べて、誰かを思うこと。世界に触れて、世界の一部になること。齋藤美衣の歌は、心と体と言葉と歌が一体になる喜びを伝えてくれる。
(大松達知・本書「帯文」より)
【5首選】
名刺二枚かさねて仕舞ふ ゆふがたのかばんの底でもう落葉だらう
冬をする けふは一人で冬をする 金木犀はだまつてなさい
母さんと呼ばれてはい、と返事して。返事して、返事して、もう夕映え
右足のいつもほどける靴紐を結びなほして世界を信ず
きみの書く「衣」の字はいつもやはらかい わたしはすこしやはらかくなる
/// ゲスト ///
齋藤美衣(さいとうみえ)
作家・歌人
1976年、広島県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。
4歳ごろから他者に「言葉が通じない」感覚を持ち、外部とつながることを難しく感じる。聴覚、視覚、感覚過敏のため、日常生活で日々困難を感じる。14歳のとき急性骨髄性白血病で1年間の入院生活を送る。19 歳から摂食障害を発症し、以降断続的に精神科にかかる。30代前半から半ばにかけて精神科への入退院を繰り返す。現在、自己認知している診断名は、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、適応障害、複雑性PTSD。
14歳の白血病の入院中に『サラダ記念日』を読んだのをきっかけに短歌を作り始める。2022年、短歌作品「蚱蝉」30首でO先生賞を授賞。2024年10月第一歌集『世界を信じる』を出版。
/// 日時・ご予約 ///
開催日 | 2024年11月3日(日) |
---|---|
時間 | OPEN 15:00 START 15:30 CLOSE 17:00 ※終了後にご希望の方のみデザートタイム (ドリンク・デザート代別途) |
場所 | 食事と図書 雨風食堂 |
参加費 | 1,500円 |
ご予約申込 |
満席になりました |
2024-10-15
《『ぼくらの「アメリカ論」』をめぐって》をめぐって
10/13(日)に雨風食堂にてトークイベント《『ぼくらの「アメリカ論」』をめぐって》を開催しました。お集まりいただいた皆さま、ご協力いただいた皆さま、そしてゲストの皆さま、忙しい10月の連休にありがとうございました。
『ぼくらの「アメリカ論」』(夕書房)著者の青木真兵さん、光嶋裕介さん、白岩英樹さん、そして夕書房の高松夕佳さんまでお招きして、書店発売直前の書籍を手に取って直接お話しできる貴重な機会となりました。
昨年8月、当店でのトークイベントの日がきっかけで青木さんの呼びかけで始まったWeb連載が1年を経て本になり、また皆さん揃って同じ場所で無事に開催できたことが、ありがたく不思議で、幸せなことだと改めて感じます。
一件一件、ご予約をいただいては返信しながら、皆さまの中で普段からことさらに「アメリカ」のことを考えて暮らしている方はどれだけいらっしゃるだろうと率直に思っていました。それでもお三方の「アメリカ論」なら聞いてみたい、読んでみたいという信頼と期待のもと、お集まりいただいた方も多かったのではないでしょうか。
私自身はWeb連載当時から、そしてこのトークイベントが決まってから改めて、連載全体を通して繰り返し読んでいたのですが、読めば読むほど、考えれば考えるほど、掴めるどころか却って膨張して霧散していってしまうような感覚がありました。三者三様、それぞれの見つめるアメリカはどこまでもそれぞれのアメリカで、一冊の本に収まっているのが不思議なくらいです。
ソローの小屋の三脚の椅子に座って対話するお三方の姿を想像して読み始めてみたら、その三脚の椅子の位置によって形成される三角形は予想外に大きく、というよりきっと椅子に座ってなどおられず、バトンは回し合いながらもその視点は中心ではなくそれぞれの方向を向いて、しかもそれぞれに遠く広がっているのです。バトンを受け取るや否や全力疾走、飛翔したかと思えば地面に引き戻され、時には地中にまで潜り、かと思えば幻想的な建築物が広大な大地に屹然と建ち上がり…さらにその舞台もアメリカという国ができるはるか昔から第二次世界大戦時、現代までとダイナミックに移り変わります。
とても大きな主題に向き合うリレーに翻弄されつつ必死でついて行きながら、「アメリカ」について考えることを通して翻って日本のこと、他の国々についても同時に考えざるを得ず、さらに国とは、人間とは、と問いは一層大きくなり、波のように自分に返ってきます。
限られたトークイベントの時間の中でも、ひとつひとつの問いに真摯に向き合い、最大限言葉にしようとされる姿に、この連載においてどんな姿勢でリレーをされていたのかが現れていた気がします。
そしてトークの最中も話が限りなく膨らんで行こうとする時、時折高松さんがピシッと小さく鋭く軌道修正される様子が垣間見えまして、高松さんがいらっしゃってこそこの一冊が完成するのだなとしみじみ感じたことでした。
いつの間にか真っ暗になっていたのに気づかないくらい、濃密な時間でした。
今回、お申し込み時の本のご注文の比率が通常よりも少なかったのは、難しそうだったり、アメリカは自分に関係がないかも、と思われているのかな?と勝手に推測していましたが、トークが終わった後には注文を保留されていた方も次々と本をご購入され、在庫はたった1冊になってしまいました。(サイン本です!)
最後に皆さんで記念写真を。(いいお顔でありがとうございます!)
大統領選を前に、目の前のイスラエルとガザのことと関連して、今まさにアメリカについて考えたいという方もいらっしゃれば、まったく違う理由の方も、そして全然わからないし難しそうだけど勇気を出して…と申し込まれた方もいらっしゃったと思います。
でもこうして直接著者の方々とお会いして、話を聞いてみて、ならばと本を手に取ってみて、ひとりなら読まなかったかもしれない本を読んで、これからの世界が少し拡張したり、見えなかったものが少し見えるようになったりしたら、楽しいですよね。
皆さま、あらためまして昨日はお会いできて嬉しかったです。
本当にありがとうございました。またお会いしましょう!
私の手元にもイベント当日に到着しました。
凛とした装丁がとても素敵です。
打ち上げごはんの準備をものすごく頑張ってくれた食事担当の夫にも感謝を。
撮影協力は服部麻子さん、ありがとうございました!
2024-09-18
10/13(日)『ぼくらの「アメリカ論」』をめぐって
『ぼくらの「アメリカ論」』(夕書房)刊行記念として、著者の青木真兵さん、光嶋裕介さん、白岩英樹さんをお招きして、雨風食堂にてトークイベントを行います。なんとこの日、書店に並ぶ前の出来立てほやほやの本と一緒に、夕書房の高松夕佳さんにもお越しいただけることになりました!高知に皆さん勢揃いされてのお話、なかなか無い機会かと思います。どうぞお見逃しなく!
ぼくらの「アメリカ論」
青木真兵 光嶋裕介 白岩英樹=著
川名潤=装幀・組版
本体2000円+税
四六判/並製/280頁
978-4-909179-11-1 C0036
ぼくらのどこかに、いつも「アメリカ」がある。
思想家、建築家、文学者。東吉野、神戸、高知--
専門も居住地も違う3人が、互いの言葉に刺激されながら
「アメリカ」「日本」、そして自らを見つめる、対話型リレーエッセイ。
分断が進み、ますます混沌とする世界情勢。
11月のアメリカ大統領選が話題となる一方、「アメリカ」をどう捉えたらいいのかわからない状況が続いています。
危機感を抱いた青木真兵さん(人文系私設図書館ルチャ・リブロキュレーター)の呼びかけに、米国で生まれ育った建築家の光嶋裕介さん、米文学を研究する白岩英樹さんが賛同。
2023年10月、それぞれが自らの中の「アメリカ」を問い直すリレーエッセイが始まりました。
「生き直し」の先駆者、公平性にもとづく自由な社会、ヨーロッパの支流としての新しい国……3人が抱くアメリカのイメージは、対話を重ねるほどに深化し、ぶつかり、離れたかと思うとまた1つになっていきます。
読むうちに、「自分にとってのアメリカ」がやさしく揺さぶられ、世界を見る目が更新される--今このときに多くの人に届けたい、真摯で率直な全18回の対話集です。
ぼくたちの「未来を見る目」には、「アメリカ的なるもの」が標準装備されているのに、今、自分の中の「アメリカ」と現実の「アメリカ」は、あまりにかけ離れている。--青木真兵
世界は今、空間的にも、時間的にも、引き裂かれている。2つの言語(自我)を往来しながら、跳躍を重ねる対話をしてみたい。--光嶋裕介
なぜいまさらアメリカなのか。それは、彼の地がいまなお「未完」の革命を繰り返す「生き直し・再生」の場であり続けているからである。--白岩英樹
/// ゲスト ///
青木真兵(あおき・しんぺい)
1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークとしている。2016年より奈良県東吉野村で自宅を私設図書館として開きつつ、執筆活動などを行っている。著書に『武器としての土着思考 僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由』(東洋経済新報社)、『手づくりのアジール─土着の知が生まれるところ』(晶文社)、妻・青木海青子との共著に『彼岸の図書館─ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)、光嶋裕介との共著に『つくる人になるために 若き建築家と思想家の往復書簡』(灯光舎)がある。
光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ)
1979年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。建築家。一級建築士。博士(建築学)。早稲田大学理工学部建築学科修了。ドイツの建築設計事務所で働いたのち2008年に帰国、独立。建築作品に内田樹氏の自宅兼道場《凱風館》、《旅人庵》、《森の生活》、《桃沢野外活動センター》など。著書に『ここちよさの建築』(NHK出版 学びのきほん)、『これからの建築―スケッチしながら考えた』『つくるをひらく』(ミシマ社)、『建築という対話 僕はこうして家をつくる』(ちくまプリマー新書)、『増補 みんなの家。―建築家一年生の初仕事と今になって思うこと』(ちくま文庫)などがある。
白岩英樹(しらいわ・ひでき)
1976年、福島県郡山市生まれ。高知県立大学文化学部/人間生活学研究科准教授。専門はアメリカ文学、比較思想、比較芸術。早稲田大学卒業後、AP通信などの勤務を経て、大阪芸術大学大学院芸術文化研究科博士後期課程修了。博士(芸術文化学)。2020年4月より高知市に在住。著書に『講義 アメリカの思想と文学――分断を乗り越える「声」を聴く』(白水社)、共著に『ユニバーサル文学談義』(作品社)、翻訳書にキャスリーン・マシューズ『祝福の種――新しい時代の創世神話』(作品社)などがある。
/// 日時・ご予約 ///
開催日 | 2024年10月13日(日) |
---|---|
時間 | OPEN 16:30 START 17:00 CLOSE 19:00 |
場所 | 食事と図書 雨風食堂 |
参加費 | 2,000円 ※ドリンクは別途ご注文いただけます |
ご予約申込 | 以下フォームよりお申し込みください |
2024-04-24
「不完全な司書」を巡る雨風ブックナイト
不完全な司書
青木海青子 著
四六判並製 256頁
定価:1,870円(本体1,700円)
978-4-7949-7398-6 C0095 〔2023年12月〕
本は違う世界の光を届ける窓
図書館は人と人の出会いの場所
司書の仕事はケアにつながる
奈良県東吉野村にひっそりとたたずむ「ルチャ・リブロ」は、自宅の古民家を開いてはじめた私設の図書館。このルチャ・リブロの司書が綴る、本と図書館の仕事にまつわるエッセイ。
人と接するのが苦手で、本という「窓」から外の世界と接してきた。そんな著者が自らの本棚を開放することで気づいた「図書館」の本質的な効用。精神疾患を抱える「支えられる立場」から、司書という「人を支える立場」になりえた体験を通じて、司書の仕事の豊かさ、奥深さ、そして本という「窓」の持つ力が伝わってくる。
読むと訪れてみたくなる、ある個性的な図書館の物語。
“私の来し方には、いつもそこに「本」と「生きづらさ」が座しています。自分自身の読んできたものと、読書の周辺を紐解くだけで、「この人、よく生きていたなあ」と何やら放心してしまいます。ルチャ・リブロはそんな私自身の読んできたものを開いたような場所で、だからこそ、少ししんどい状況にある人が、ふとこの場所を見つけて遠い道のりをやってきてくれるのではないかと考えています。”(「まえがき」より)
/// ゲスト ///
青木海青子(あおき・みあこ)
人文系私設図書館ルチャ・リブロ司書。1985年、兵庫県生まれ。約6年の大学図書館勤務を経て、夫・真兵とともに奈良県東吉野村にルチャ・リブロを開設。2016年より図書館を営むかたわら、「Aokimiako」の屋号での刺繍等によるアクセサリーや雑貨製作、イラスト制作も行っている。青木真兵との共著に『彼岸の図書館――ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト1~4』 (エイチアンドエスカンパニー)、単著に『本が語ること、語らせること』(夕書房)がある。
» 人文系私設図書館ルチャ・リブロ
青木真兵(あおき・しんぺい)
1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークとしている。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を私設図書館として開きつつ、現在はユース世代への支援事業に従事して糊口をしのいでいる。著書に『手づくりのアジール──土着の知が生まれるところ』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館──ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)、光嶋裕介との共著『つくる人になるために 若き建築家と思想家の往復書簡』(灯光舎)などがある。
» 人文系私設図書館ルチャ・リブロ
/// 日時・ご予約 ///
開催日 | 2024年5月11日(土) |
---|---|
時間 | OPEN 18:30 START 19:00 CLOSE 21:00
21:00〜デザートタイム |
場所 | 食事と図書 雨風食堂 |
参加費 | 1,500円(25歳以下 500円) ※1ドリンク込み |
ご予約申込 |
🈵満席となりました
|
2024-02-15
尹雄大さんトークイベント「句点。に気をつけろ」
句点。に気をつけろ
「自分の言葉」を見失ったあなたへ
著者:尹 雄大(ゆん うんで)
販売元:株式会社 光文社
発売日:2024 年 2 月 21 日
定価:1700 円+消費税
頁数:184 頁
ISBN:978-4-334-10230-2
テキストのような整った言葉を淀みなく話す。それがコミュニケーション能力の高さの証だといった風潮がどうやらあるみたいだ。
でも本当に言いたいことや感じていることが、それこそ「私は~思う。」みたいな句点のついた収まりのいい言葉に簡単になるものだろうか。スラスラと話せたら嬉しいかもしれないけれど、じゃあ言い淀まざるを得ない思いは、そのときどこへ消えてしまったんだろうか。
暮らしの中で、答えは出ないけれど、違和感を覚えていることは色々あるはず。そんなことについてお話をする催しにしたいと思います。
―尹雄大さんより
尹 雄大(ゆん うんで)
インタビュアー、作家。1970 年神戸市生まれ。政財界人やアスリート、研究者、芸能人、アーティスト、アウトローなど約 1000 人にインタビューを行ってきた。その経験を活かし、2017 年からインタビューセッションや講座を開催している。主な著書に『さよなら、男社会』(亜紀書房)、『異聞風土記』(晶文社)、『モヤモヤの正体』(ミシマ社)、『脇道にそれる』、『やわらかな言葉と体のレッスン』(ともに春秋社)、『体の知性を取り戻す』(講談社現代新書)、『FLOW』(冬弓舎)』『聞くこと、話すこと。』(大和書房)などがある
公式サイト:http://nonsavoir.com/
X:https://twitter.com/nonsavoir
/// 日時・ご予約 ///
開催日 | 2024年4月15日(月) |
---|---|
時間 | OPEN 18:30 START 19:00 CLOSE 21:00 |
場所 | 食事と図書 雨風食堂 | 参加費 | 1,500 円(1ドリンクつき) |
ご予約申込 | 【満席になりました】 |