食事と図書 雨風食堂

2026-06-24

7/25 青木海青子さん・青木真兵さん
『図書館、山へ分け入る』
刊行記念トークイベント
「魔法を手放す」

2024年の「不完全な司書」刊行記念イベント以来2年振りに、奈良県東吉野村の「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」から、司書の青木海青子さんをお迎えします。前回は雨風食堂での開催でしたが、今回は文室で。海青子さんの新刊「図書館、山へ分け入る」(晶文社)の刊行記念として、ともにルチャ・リブロを営む青木真兵さんと一緒に、本を囲みながらお話ししたいと思います。

また、ルチャ・リブロ開館10周年を記念して、イベント当日の7/25(土)〜8/16(日)までの間、文室にて海青子さんによる原画展「ミニルチャ・リブロ展」を開催します!『図書館、山へ分け入る』と青木真兵さんの書籍『資本主義を半分捨てる』(ちくまプリマー新書)の挿画を中心に、先日お話ししたときに話題に出た「ためらい線」の言葉をヒントに、小さな落書きや、ためらい線ばかりの紙片たちもお持ちくださるそうです。こちらもお楽しみに。

イベントのお申込とあわせて書籍のご注文も承ります。まとめて発注を行いますので、書籍をご注文の場合、7月1日までにお申し込みください。書籍入荷済みです◎冊数に限りがありますのでお早めにお申し込みください。ご予約のタイミングによってはイベント終了後のお渡しになります。

図書館、山へ分け入る

著者:青木海青子
出版 :晶文社
価格 :1,980円(税込)

哲学は新しい文体を探してきた。青木海青子さんはきわめて論じにくい哲学的主題を軽やかに深くかつ正直にたどることで新しい文体を創出した。
──内田樹(凱風館館長)
暗がりをひとり歩いてきた人の言葉は、私たちの足元も照らしてくれる。
──牟田都子(校正者)

好評の『不完全な司書』に続く、山奥にたたずむ図書館の司書エッセイ。
奈良県東吉野村に借りた古民家の自宅を「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」として開いて10年。この図書館を運営してきた司書が綴るエッセイ集。本という窓をとおして世界を見てきた著者が、「まどのそとのそのまたむこう」へ歩み始めた。
「山へ分け入る」とは、いまの社会的趨勢への抵抗の意。図書館は自由を守る砦となりうるという確信とともに、主宰する「生きるためのファンタジーの会」「戦争と社会を考える会」の活動、日々の図書館の出来事、障害当事者として感じる社会への違和感などが綴られる。
『バスラの図書館員』はじめ、収蔵する図書の読書案内にもなる、本の山へ分け入る旅の物語。

今回のトークのタイトル『魔法を手放す』は、
海青子さんと真兵さんと「言葉」についてあれこれお話ししていた時に
ふと、海青子さんが口にされた言葉です。

実は私も、言葉を「人間にだけ効く魔法」と表現する時があります。
あるときは薬草のように、あるときは呪いのように。
ただの音節や文字の連なりが特定の順序で並べられるとき、
人の心に作用して、状態を変えてしまったりするもの。
不思議で、ときに厄介な力を持っているのが言葉です。

受け手ばかりでなく、言葉を放つ本人でさえも
その魔力から完全に自由になるのは難しく、
眼鏡をはずすように、そんな魔法から遠く遠く
はなれて過ごしたくなる日もあります。

それでも、深い思考の山に分け入るとき
体のつぎに頼りになるのは、やっぱり言葉です。

たくさんの本とともに山に分け入った海青子さんが
10年の間、ルチャ・リブロの床を拭き上げ、火を灯し、
窓を内から外に開けながら、言葉を綴ってこられた先に、
「図書館、山へ分け入る」があります。

この日はあらためて言葉の力も少し借りながら
ためらい線をたくさん引きつつ
その時限りのお話をご一緒できたらと思っています。

***

文室のあゆこさんとお話しした時に、「言葉はただちょっと何かを引っ掛けたい時のフックで、常に暫定だ」という一言が出てきて、ハッとしました。私も今は、言葉はフックのようであり、ハーケンのようであり、色んなとっかかりがある内のただの一形態だと感じています。そんなことを感じながらも、やはり言葉を使いながら、そんなおしゃべりも出来たらと思います。

--青木海青子さんより

僕の方が外に出てお話しする機会が多いので勘違いされがちですが、ルチャ・リブロの「本体」は妻の青木海青子です。そういう意味でも、『図書館、山へ分け入る』はルチャ・リブロ十年の歩みとこれからがしっかり書かれた本です。お伝えしたいことはたくさんありますが、それはまたトークイベントで!

--青木真兵さんより

///  プロフィール  ///

青木海青子(あおきみあこ)

人文系私設図書館ルチャ・リブロ司書。1985年、兵庫県生まれ。約6年の大学図書館勤務を経て、夫・真兵とともに奈良県東吉野村にルチャ・リブ口を開設。青木真兵との共著に『彼岸の図書館一ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)、単著に『本が語ること、語らせること』(夕書房)、『不完全な司書』(晶文社)、『図書館、山へ分け入る』がある。

青木真兵(あおき・しんぺい) 思想家

1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。博士(文学)。社会福祉士。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」として開きながら、対話によって組織の存在理由を改めて掘り起こす「考古学ラヂオ」や執筆などの活動を行っている。著書に『資本主義を半分捨てる』(ちくまプリマー新書)、 『武器としての土着思考』(東洋経済新報社)、『手づくりのアジール』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)などがある。

///  日時・ご予約  ///

開催日 2026年7月25日(土)
時間 開場 18:00
開始 19:00
終了 21:00
場所 文室 @_bunshitsu
(高知市南はりまや町1丁目10-9 1F)
参加費 2,000円
※ドリンク代別途
ご予約

2026-06-15

6/20(土)水本アキラさんトークイベント
武田百合子さんについて知っていること、すべて。
at 本屋 文室

6月20日(土)は本屋文室にて、
編集者でDJの水本アキラさんをお迎えして
「武田百合子さんについて知っていること、すべて。」
を開催します。

知る人ぞ知る、日記文学の金字塔
武田百合子さんの「富士日記」。

文室のカウンターに陳列していると
性別や年齢を問わず様々な方が
「あ、富士日記ですね」
「武田百合子さん好きです」
と反応してくださって
改めてその人気ぶりに驚かされました。

今回は、その「富士日記」を
10年かけて読み解き、
3冊の本にまとめられた
水本アキラさんを文室にお招きして
とっておきの映像や音声も交えながら(!)
「富士日記」、そして武田百合子さんの魅力を
たっぷりとお話しいただく予定です。


映像は壁に大きく映してご覧いただきます

贅沢な予告編のようなPodcastも公開されています。
各種PodcastのほかYouTubeでもお聞きいただけます。
書くことや日記、
その他の表現について関心のある方にも
ぜひ聴いていただきたいお話です↓

そして何より、水本さんによる「富士日記」の注釈本
「YURIKO TAIJUN HANA 武田百合子『富士日記』の4426日」
自体が、とっても面白いんです。
「富士日記」の背景を緻密に描き込んでいきながら
心ゆくままに脱線していく壮大な回想のようであり、
時空を超える豊かな散歩のようでもあり、
それ自体で水本さん自身のエッセイとしても
充分に楽しめる3冊になっています。
(文室・雨風食堂店頭で販売中です)

「富士日記」の他にも
武田百合子さんの随筆は少しだけ在庫があります。
(店頭にない本はご注文も承ります⚪︎)

武田百合子さんをお好きな方はもちろん
まだ「富士日記」を読んだことのない方も
ぜひお気軽にご参加ください。

///  日時・ご予約  ///

開催日 2026年6月20日(土)
時間 OPEN 18:30
START 19:00
場所 文室 @_bunshitsu
(高知市南はりまや町1丁目10-9 1F)
参加費 1,500円
※ドリンク代別途
ご予約申込 以下ページからお申し込みいただくか
文室・雨風食堂店頭でも承ります。

2026-02-17

2/12(木)
「資本主義を半分捨てる」刊行記念
青木真兵さん、光嶋裕介さんトークイベント
ありがとうございました!

青木真兵さんと光嶋裕介さんをお招きして開催した「資本主義を半分捨てる」刊行記念トークイベント、おかげさまで無事に終了しました。

平日なのでこじんまりとアットホームな感じになるかなと予想していたのですが、「椅子だけはたくさんある」と豪語していたのが最終的に足りなくなり、ピアノ椅子や小さなスツールまで全て使い果たすほど、過去最高に多くの方にお集まりいただきまして(あっ、また数字を見てしまいました)やっぱり関心の高いテーマなのだなと実感しました。

中高生向けのシリーズであるちくまプリマー新書から刊行された青木さんの最新刊は、様々なテーマについて語られている本ですが、個人的には特に「自己ニーズ」と「他者ニーズ」、そして「内面化」というキーワードに注目して読みました。

「資本主義」とタイトルに入ってはいますが、お金の話をしている本ではまったくないですし、半農半Xや投資など、資本主義社会から半歩抜け出して生きるための具体的な方法を指南する本ではありません。それらは例えば絵を描くときに最終的に使う道具の話で、その前に必要なのは、自分は“本当は”どんな絵を描きたいのかを、自分でわかるということです。

よりよく生きるための道具であったはずのものに、道具として使われるどころか部品として消費されているという倒錯。このことに気がつかないまま、むしろ自ら進んではまり込んでいってしまうことは、資本主義という大きな相手に限らず、どこにでも転がっている避けがたい罠だと感じています。スマホ然り、仕事然り、政治もまた然りです。(その奥にあるのはやっぱり資本主義だったりするんですが)

いつの間にか自分を完全に明け渡してしまわないために、どこまでなら、どうやったら守れるのか。その方法も、自分との対話を通して自分の中から見つけていくしかないのだと思います。

「半分捨てる」の「半分」も一人一人違って、リバーシブルのような「半分」もあれば、面積としての「半分」もあるでしょうし、ひとつの中の割合としての「半分」もありますね。大事なのは等分にすることではなく、もう片方を捨てないこと、両方を同時に持つということです。「資本主義を半分捨てる」=「資本主義でないものを半分捨てない」であり、資本主義を「他者ニーズ」に置き換えると、「自己ニーズ」を半分残すということ。

トークの終盤でも光嶋さんが言われたことですが、「自分の声って本当に小さい」んですよね。てっきり自分の声だと思っていたのに、誰かの拡声器になってしまっているなんていうことも。

まずは他人の息のかかっていない本当の「自己ニーズ」が聞こえるように、耳を澄ませて、整えていくところから。簡単なことではないですが、植物を育てるくらいの時間感覚で毎日自分を観察しながら、それぞれにちょうどいい半分を見つけていきましょう🌱

写真は最後まで残られた皆さんと。
想像を超えて多くのご予約をいただいて、土着仲間のterzo tempo佐野くんが急遽ドリンクをすべて担当してくれました。(多謝!!)撮影は白岩英樹先生、いつもありがとうございます!

『ぼくらの「アメリカ論」』のお三方。

使う・使われるではなく
持ちつ・持たれつの精神でいきたいですね。
この日も関わってくださったすべての皆さんに、
ありがとうございました◎

2026-01-21

2/12(木)
「資本主義を半分捨てる」刊行記念
青木真兵さん、光嶋裕介さんトークイベント

2026年、本屋「文室」最初のトークイベントは、思想家の青木真兵さんと、建築家の光嶋裕介さんをお迎えします。今回は、青木さんの新刊「資本主義を半分捨てる」(ちくまプリマー新書)の刊行記念として、本を囲みながらお話ししていきます。

2/7(土)18:00までのご予約をもちまして、事前お渡し・当日お渡しともに書籍のご予約は終了させていただきました。後日のお渡しでよろしければ引き続き承れます。
イベントのお申込とあわせて書籍のご注文も承ります。発売直後のイベントではありますが、一部事前のお渡しも可能にしていただきました(冊数に限りがありますので、お早めにご予約ください)。

資本主義を半分捨てる

著者:青木真兵
出版 :筑摩書房
価格 :990 円(税込)

「声が発されることは弱さではなく、生きる術なのだ。」

生きづらさに満ちた社会で、資本主義の価値観に縛られず多様なありかたを模索する。都市と山村を行き来して考えた、自分が心地よく生きるための方法とは。

現代に生きる私たちは、生まれた瞬間から資本主義のシステムに包まれて
数や評価から逃れられない世界に生きています。
数は、比較を可能にし、比較は、選別を可能にします。
本来は数値化できないはずのものまで数値化され、
比べられないはずのものを比較可能にし、
決して取り替えのきかないものを、交換可能なもののように錯覚させてしまう。
果たして、たったひとりの自分を置き去りにして
数えられるものの数字が増えるということは、本当に豊かなことでしょうか。

そうはいっても、すべてを手放すことはできません。
数字を増やし回し続ける都会の生活を降りた私たちも然り、
お客さんから直接受け取ったお金だけで家族3人暮らしてみようと思ったら
それはそれは大変で、結局毎日数字と睨めっこです。
続けていくために毎月たくさんのお金を動かし、
「欲しい」と思ってもらえなければ消えてしまう、
それは、自営業で小さな店を営む私たちにとって
比喩でなく、ただの現実です。

それでも、人がよりよく生きるための道具だったはずのシステムに
道具として使われ消費されないために、私たちは何を選ぶことができるのか。
きっと正解というものはなく、それぞれの実践があるだけなのだと思います。

今回は、切っても切れない資本主義との付き合い方について、
お二人とたっぷりお話ししてみたいと思います。

***

資本主義に使われず、格闘しながら社会を手づくりしている同志として、
伊東ご夫妻のことは勝手に尊敬しています。
だから何度もお邪魔しちゃうんだな〜と!
今回もよろしくお願いいたします。

--青木真兵さんより

わたしたちの日常にべっとりな資本主義は、手強い。
あまりにも強靭で、社会的な動物である人間がたどり着いた
ひとつの叡智でもある資本主義からもう逃れることは、きっとできない。
であれば、半分捨ててみようとは、なるほどと思いつつ、どうやって?
そんなことを3人で語らいたい!!

--光嶋裕介さんより

///  ゲスト  ///

青木真兵(あおき・しんぺい) 思想家

1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。博士(文学)。社会福祉士。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」として開きながら、対話によって「はじまり」を問い直し組織の存在理由を改めて掘り起こす「考古学ラヂオ」や執筆などの活動を行っている。著書に『武器としての土着思考』(東洋経済新報社)、『手づくりのアジール』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)、光嶋裕介との共著『つくる人になるために 若き建築家と思想家の往復書簡』(灯光舎)などがある。人文系私設図書館ルチャ・リブロhttps://lucha-libro.net/

光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ) 建築家

1979年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。建築家。一級建築士。博士(建築学)。高知工科大学 特任教授。早稲田大学理工学部建築学科修了。ドイツの建築設計事務所で働いたのち2008年に帰国、独立。建築作品に内田樹氏の自宅兼道場《凱風館》、《旅人庵》、《森の生活》、《桃沢野外活動センター》など。著書に『ここちよさの建築』(NHK出版 学びのきほん)、『これからの建築―スケッチしながら考えた』『つくるをひらく』(ミシマ社)、『建築という対話 僕はこうして家をつくる』(ちくまプリマー新書)、『増補 みんなの家。―建築家一年生の初仕事と今になって思うこと』(ちくま文庫)などがある。

///  日時・ご予約  ///

開催日 2026年2月12日(木)
時間 OPEN 18:00
START 19:00
CLOSE 21:00
場所 文室 @_bunshitsu
(高知市南はりまや町1丁目10-9 1F)
参加費 2,000円
※ドリンク代別途
ご予約申込 以下フォームよりお申し込みください

2025-12-27

「みんなのごはん」刊行記念
チャン・アラさん、内藤かほりさんお話会
ありがとうございました!

12月20日(土)、本屋「文室」にて、韓国で独立書店と出版スタジオを営むチャン・アラさんと著者の内藤かほりさんをお迎えし、「みんなのごはん」刊行記念トークイベントを開催しました。アラさんの出版スタジオの門出となった本作。その最初の海外イベントを、高知の小さな個人書店である文室で開催させていただくことになったことは、今でも本当に不思議で、ありがたいご縁だったと感じています。

1部では、舞台裏の写真や動画をたくさん見せてくださり、本作りの裏側を覗かせていただきました。料理に関心の高い方が多く、質問もたくさん出て、終始あたたかい雰囲気で進行する中、料理をきっかけに思わぬところからふたつの国の文化や言葉の違いが浮かび上がるのも印象的でした。「きつね色」という表現の話から、お稲荷さんの名前の由来の話になり、「たぬきは何色ですか?」というアラさんの質問にみんなで笑ってしまったり。

2部では「みんなのごはん」に掲載されているかほりさんのレシピから「のっぺい汁うどん」をご用意させていただき、優しい味のおうどんでお腹を満たしてから、本の話から少し離れてお二人の生き方、考え方について話を広げていきました。

お二人の出会いから、国や言葉の違いを越えて友人になられた経緯、韓国の出版事情や、SNSとの付き合い方まで。参加者の方も思ったことをいつでも自由に質問できる自由なスタイルでしたが、どの話題からもお二人それぞれの個性やスタンスが自然に滲み出ていたように思います。

会が終了し、夜が更けても多くの方がそのまま残って話は尽きず……

翌日、メモ帳を見るとその形跡が。

いったいどんなお話をされていたのでしょうか。

* * *

アラさんのお名前は韓国の古い言葉で「海」の意味を持つそうです。お名前の通りその眼差しは、あらゆる境界や隔たりを軽やかに越えているように見えました。言葉が分からなければ習得し、本の作り方が分からなければ印刷所に尋ね、会いたい人には会いに行って。遥か遠くを見ているようでいながら、人が見過ごしてしまうような良さに気づき、その良さを伝えるために、丁寧に、果敢に、一冊の本という形にしていく。そして、自ら書店という場を作り、直接手渡していく。ご一緒したのは2日間の短い間でしたが、後ろからかほりさんを見守る眼差しやご家族への愛情を言葉の端々から感じ、その原動力は野心というよりも、愛情に近いものなのかもしれないと思いました。


通りすがりのワンちゃんが一直線にアラさんのもとへ

また、出版スタジオとして船出をされるにあたり「一冊目の本は信じられる友人と作りたかった」というアラさんの言葉も心に残っています。実際にかほりさんとお会いして、自然体で周りの人を和ませてくれる柔らかい空気の奥に、しっかりと芯を持った方なのだと感じました。「みんなのごはん」はこんなお二人によって丁寧につくられたやさしいレシピ本ですが、当日のお二人の様子を見て、参加者の皆さんもこの本がどのようにして生まれたのか、言葉以前に感じ取れる部分が多くあったのではないでしょうか。

イベントから一週間が経ち、参加者の方々から次々とご感想をいただいていますが、今までで一番アットホームだったというお声と、「とても刺激を受けた」というお声が多く届いています。私自身、なぜ本屋という場所を作ったのか、なぜイベントを開催するのかということを、今一度考えてみる良い機会になりました。

本という静かで動かないものを取り扱ってはいますが、ずっと「本は人です」と口癖のようにお伝えしてきました。結局、本を介して、人を紹介したいのだろうと思うのです。自分の生活圏のすぐ隣に、こんな人がいるのだと。

本を紹介した時点ではそのたった一歩目、それでも大きな一歩ではありますが、実際に書いた人、作った人に会ってみることが千倍くらいの意味を持つことがあります。
その瞬間が実現するためには、場をひらく人がいて、ゲストとしてお越しくださる方と、会いに来てくださる方々、その皆さんがそれぞれに何もわからない段階で、先に主催者を、ゲストを、お客さんを、人を「信じてみる」必要があります。

まず、信じてみる、会いに行ってみる。その先にしか生まれない、あたたかな連鎖。
かほりさんのレシピの優しい味のおうどんを啜りながら、その実践を、お二人と皆さんに見せていただいたような夜でした。この小さな一夜の交流からそれぞれの人生の角度がほんの少し変わったであろうことを思い、そのズレがどんな変化になっていくのか、これからまた楽しみです。

* * *

今回、イベントの記念品として、ホリナルミさんのイラストがかわいいポストカードセットとハンドタオルをご用意くださいました。
初回特典のカレンダーも、大手ショッピングサイトからの購入では入手できない小さな書店のみの特典なのだそうです。(愛!)

2025-12-05

12/20(土)「みんなのごはん」刊行記念
チャン・アラさん、内藤かほりさんお話会

本屋「文室」にて、2025年最後のトークイベントのお知らせです!

10月に韓国で出版された『みんなのごはん』の刊行を記念して、韓国・ソウルで独立書店と出版スタジオを営むチャン・アラさんと、京都からは著者の内藤かほりさんのお二人をお迎えします。かほりさんにとっては初めてのトークイベント、アラさんは慣れない日本語での進行ということで、堅苦しくなく、お二人を囲んで皆さんでわいわいお話しできたらと思います。

日本のやさしい家庭料理を韓国の方に紹介するために刊行された『みんなのごはん』は、日本ではまだ取り扱いの少ない本です。アラさんとは文室がオープンする前からご縁があり、本のご紹介とあわせて、このような機会をご用意させていただけることになりました。

本のレシピやコラムは韓国語・日本語併記で書かれているため、韓国語がわからない方もお楽しみいただけますし、学習中の方にはうってつけのレシピ本になっています。
初回特典としてホリナルミさんのあたたかいイラストの2026年のカレンダーもついてきます。(数量限定です)

はるばるお二人にお越しいただける貴重な機会ですので、より多くの方にご参加いただけるよう、ゆっくり2回に分けての開催になります。

■ 1部(16:00〜17:30)※ドリンクつき

『みんなのごはん』が生まれるまで

お二人の出会いから、本ができるまでの経緯を伺っていきます。
文化やことばの違いを越えて形になっていった背景や、かほりさんが保育園のお仕事の中で日々実践されている子どものごはんづくりの工夫にも触れながら、写真・編集・デザインなど、本づくりのすべてを手がけられたアラさんの丁寧な制作の裏側についても、たっぷりお話しいただきます。

■ 2部(19:00〜20:30)※軽食つき

イメージを形にしつづけること

自身の世界観を本や料理、空間づくりなど、具体的な形として丁寧に落とし込んでこられたお二人に、その実践について伺います。かほりさんには暮らしの中で育まれてきた自分のスタイルや日々のインスピレーションについて。アラさんには、書店やオフラインの読書会、紙の本など、体験できる場所や物をどんなふうに形にされてきたのか、先月からソウルで始まった新しい場づくりについてもお聞きします。

どちらの会も、参加者の皆さんも自由にお話に加わっていただいて、アットホームな会にできればと思っています。レシピや本の感想などもどんどんお話しください。夜の部では「みんなのごはん」のレシピの中から実際に、雨風食堂の食事担当が軽食を少しご用意させていただく予定です。また、1部と2部と、それぞれ別ににアラさんから『みんなのごはん』のイラストを使った記念品をご用意いただけるそうです。こちらもどうぞお楽しみに!

イベントのご予約と一緒に書籍のご予約注文・発送も承ります(カレンダーつき)。
当日のご参加が難しい方も、書籍のみのご注文も可能です。
この機会にぜひご注文くださいね。

『みんなのごはん』

모두의 식탁

著者:内藤かほり
挿画:ホリナルミ
翻訳:神田彩羅
発行者:チャン・アラ
出版社:Wordmap Books
価格:2,200円(税込)

『みんなのごはん』は、焼く・揚げる・炒める・煮るといった基本の調理法で仕上げられる30種類の家庭料理を紹介しています。特別な道具や難しい技術がなくてもおいしい一皿が作れるので、料理を始めたばかりの方はもちろん、忙しい日々のなかで手軽に日本の家庭料理を楽しみたい方にも心強い案内役となってくれる一冊です。

レシピには日本の台所でよく使われる食材を中心にしながらも、韓国のスーパーでも手に入るものを選んでいます。なじみ深い食材を使いながらも新しい味に出会える楽しさがあり、身近な材料で気軽に日本の食卓の雰囲気を味わえます。作り置きして何度かに分けて楽しめる小さなおかずも収録し、「今日のひと手間が明日の食卓を豊かにする」そんな暮らしの知恵も自然と身につきます。

さらに、この本の魅力はレシピのあちこちに散りばめられた料理のヒント。食材の扱い方や台所に流れる生活のリズムなど、日本の暮らしぶりを垣間見ることができます。韓国語と日本語を併記した構成は、実際の料理表現を自然に学べる特別な体験となり、ことばと料理を一緒に味わう喜びを届けます。

『みんなのごはん』は、子どもも大人も一緒に楽しめる料理本であり、家庭で囲む温かなごはんの価値や文化を伝える実用書です。日本のありふれた家庭に流れる日常の物語を辿っていくうちに、毎日の食卓が少しだけやさしく、そして豊かな場所へと変わっていく瞬間に出会えるでしょう。

///  ゲスト  ///

チャン・アラ

ソウルで書店「始まりの書店」と出版社「文字の地図」を運営しています。韓国と日本を“本”でつなぎ、さまざまな文化交流をつくっていくことを目指しています。@prologuebook.seoul@wordmap.books

皆さま、こんにちは。『みんなのごはん』の発行者であり、企画・制作を担当した張アラと申します。著者の内藤さんは、私にとって著者である以前に、本を作りたいという強いインスピレーションを与えてくれた尊敬すべき存在であり、良き友人でもあります。
今回の本は日本の家庭料理を扱っていることもあり、日本の読者の皆さまにも、かほりさんの端正で素朴な暮らしがしっかり伝わるよう、心を込めて制作しました。
日本で直接この本をご紹介するのは初めての機会となりますので、皆さまと良い時間を共有できることを心から楽しみにしております。

内藤かほり

京都で生まれ育ちました。料理をしていた祖父母の影響を受け、調理師の道を歩み始めました。現在は調理師として8年目になり、子どもたちのために健康でおいしい給食づくりに取り組んでいます。また、SNSを通して料理や日常など、自分の好きなものを韓国や日本のフォロワーの皆さんと共有しています。 @__bang6

皆様、はじめまして。『みんなのごはん』著者の内藤かほりと申します。
私は普段ひとり暮らしをしながら、京都市内の保育園で給食調理を担当する調理師として働いています。このようなイベントに参加させていただくのは初めてで緊張しておりますが、最後まで楽しくお話しできればと思っております。また、このような機会を設けてくださった文室様にも感謝申し上げます。今回のイベントでは、アラさんとの出会いや本づくりに至った経緯、掲載されているレシピについて、そしてレシピ本制作の裏話などもお話しできればと思っております。お越しくださった皆様にとって、良い一日となりますように。

///  日時・ご予約  ///

開催日 2025年12月20日(土)
時間 【1部】
Open / 15:30
Talk / 16:00 – 17:30

【2部】
Open / 18:30
Talk / 19:00 – 20:30

場所 文室 @_bunshitsu
(高知市南はりまや町1丁目10-9 1F)
参加費 1部 2,000円 ※ドリンクつき
2部 2,500円 ※軽食つき
通し参加 4,000円

・それぞれに記念品あり
・お支払いは現金のみです

ご予約方法 以下フォームよりお申し込みください

雨風食堂・文室でも承ります