食事と図書 雨風食堂

2026-02-17

2/12(木)
「資本主義を半分捨てる」刊行記念
青木真兵さん、光嶋裕介さんトークイベント
ありがとうございました!

青木真兵さんと光嶋裕介さんをお招きして開催した「資本主義を半分捨てる」刊行記念トークイベント、おかげさまで無事に終了しました。

平日なのでこじんまりとアットホームな感じになるかなと予想していたのですが、「椅子だけはたくさんある」と豪語していたのが最終的に足りなくなり、ピアノ椅子や小さなスツールまで全て使い果たすほど、過去最高に多くの方にお集まりいただきまして(あっ、また数字を見てしまいました)やっぱり関心の高いテーマなのだなと実感しました。

中高生向けのシリーズであるちくまプリマー新書から刊行された青木さんの最新刊は、様々なテーマについて語られている本ですが、個人的には特に「自己ニーズ」と「他者ニーズ」、そして「内面化」というキーワードに注目して読みました。

「資本主義」とタイトルに入ってはいますが、お金の話をしている本ではまったくないですし、半農半Xや投資など、資本主義社会から半歩抜け出して生きるための具体的な方法を指南する本ではありません。それらは例えば絵を描くときに最終的に使う道具の話で、その前に必要なのは、自分は“本当は”どんな絵を描きたいのかを、自分でわかるということです。

よりよく生きるための道具であったはずのものに、道具として使われるどころか部品として消費されているという倒錯。このことに気がつかないまま、むしろ自ら進んではまり込んでいってしまうことは、資本主義という大きな相手に限らず、どこにでも転がっている避けがたい罠だと感じています。スマホ然り、仕事然り、政治もまた然りです。(その奥にあるのはやっぱり資本主義だったりするんですが)

いつの間にか自分を完全に明け渡してしまわないために、どこまでなら、どうやったら守れるのか。その方法も、自分との対話を通して自分の中から見つけていくしかないのだと思います。

「半分捨てる」の「半分」も一人一人違って、リバーシブルのような「半分」もあれば、面積としての「半分」もあるでしょうし、ひとつの中の割合としての「半分」もありますね。大事なのは等分にすることではなく、もう片方を捨てないこと、両方を同時に持つということです。「資本主義を半分捨てる」=「資本主義でないものを半分捨てない」であり、資本主義を「他者ニーズ」に置き換えると、「自己ニーズ」を半分残すということ。

トークの終盤でも光嶋さんが言われたことですが、「自分の声って本当に小さい」んですよね。てっきり自分の声だと思っていたのに、誰かの拡声器になってしまっているなんていうことも。

まずは他人の息のかかっていない本当の「自己ニーズ」が聞こえるように、耳を澄ませて、整えていくところから。簡単なことではないですが、植物を育てるくらいの時間感覚で毎日自分を観察しながら、それぞれにちょうどいい半分を見つけていきましょう🌱

写真は最後まで残られた皆さんと。
想像を超えて多くのご予約をいただいて、土着仲間のterzo tempo佐野くんが急遽ドリンクをすべて担当してくれました。(多謝!!)撮影は白岩英樹先生、いつもありがとうございます!

『ぼくらの「アメリカ論」』のお三方。

使う・使われるではなく
持ちつ・持たれつの精神でいきたいですね。
この日も関わってくださったすべての皆さんに、
ありがとうございました◎

2026-01-21

2/12(木)
「資本主義を半分捨てる」刊行記念
青木真兵さん、光嶋裕介さんトークイベント

2026年、本屋「文室」最初のトークイベントは、思想家の青木真兵さんと、建築家の光嶋裕介さんをお迎えします。今回は、青木さんの新刊「資本主義を半分捨てる」(ちくまプリマー新書)の刊行記念として、本を囲みながらお話ししていきます。

2/7(土)18:00までのご予約をもちまして、事前お渡し・当日お渡しともに書籍のご予約は終了させていただきました。後日のお渡しでよろしければ引き続き承れます。
イベントのお申込とあわせて書籍のご注文も承ります。発売直後のイベントではありますが、一部事前のお渡しも可能にしていただきました(冊数に限りがありますので、お早めにご予約ください)。

資本主義を半分捨てる

著者:青木真兵
出版 :筑摩書房
価格 :990 円(税込)

「声が発されることは弱さではなく、生きる術なのだ。」

生きづらさに満ちた社会で、資本主義の価値観に縛られず多様なありかたを模索する。都市と山村を行き来して考えた、自分が心地よく生きるための方法とは。

現代に生きる私たちは、生まれた瞬間から資本主義のシステムに包まれて
数や評価から逃れられない世界に生きています。
数は、比較を可能にし、比較は、選別を可能にします。
本来は数値化できないはずのものまで数値化され、
比べられないはずのものを比較可能にし、
決して取り替えのきかないものを、交換可能なもののように錯覚させてしまう。
果たして、たったひとりの自分を置き去りにして
数えられるものの数字が増えるということは、本当に豊かなことでしょうか。

そうはいっても、すべてを手放すことはできません。
数字を増やし回し続ける都会の生活を降りた私たちも然り、
お客さんから直接受け取ったお金だけで家族3人暮らしてみようと思ったら
それはそれは大変で、結局毎日数字と睨めっこです。
続けていくために毎月たくさんのお金を動かし、
「欲しい」と思ってもらえなければ消えてしまう、
それは、自営業で小さな店を営む私たちにとって
比喩でなく、ただの現実です。

それでも、人がよりよく生きるための道具だったはずのシステムに
道具として使われ消費されないために、私たちは何を選ぶことができるのか。
きっと正解というものはなく、それぞれの実践があるだけなのだと思います。

今回は、切っても切れない資本主義との付き合い方について、
お二人とたっぷりお話ししてみたいと思います。

***

資本主義に使われず、格闘しながら社会を手づくりしている同志として、
伊東ご夫妻のことは勝手に尊敬しています。
だから何度もお邪魔しちゃうんだな〜と!
今回もよろしくお願いいたします。

--青木真兵さんより

わたしたちの日常にべっとりな資本主義は、手強い。
あまりにも強靭で、社会的な動物である人間がたどり着いた
ひとつの叡智でもある資本主義からもう逃れることは、きっとできない。
であれば、半分捨ててみようとは、なるほどと思いつつ、どうやって?
そんなことを3人で語らいたい!!

--光嶋裕介さんより

///  ゲスト  ///

青木真兵(あおき・しんぺい) 思想家

1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。博士(文学)。社会福祉士。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」として開きながら、対話によって「はじまり」を問い直し組織の存在理由を改めて掘り起こす「考古学ラヂオ」や執筆などの活動を行っている。著書に『武器としての土着思考』(東洋経済新報社)、『手づくりのアジール』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)、光嶋裕介との共著『つくる人になるために 若き建築家と思想家の往復書簡』(灯光舎)などがある。人文系私設図書館ルチャ・リブロhttps://lucha-libro.net/

光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ) 建築家

1979年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。建築家。一級建築士。博士(建築学)。高知工科大学 特任教授。早稲田大学理工学部建築学科修了。ドイツの建築設計事務所で働いたのち2008年に帰国、独立。建築作品に内田樹氏の自宅兼道場《凱風館》、《旅人庵》、《森の生活》、《桃沢野外活動センター》など。著書に『ここちよさの建築』(NHK出版 学びのきほん)、『これからの建築―スケッチしながら考えた』『つくるをひらく』(ミシマ社)、『建築という対話 僕はこうして家をつくる』(ちくまプリマー新書)、『増補 みんなの家。―建築家一年生の初仕事と今になって思うこと』(ちくま文庫)などがある。

///  日時・ご予約  ///

開催日 2026年2月12日(木)
時間 OPEN 18:00
START 19:00
CLOSE 21:00
場所 文室 @_bunshitsu
(高知市南はりまや町1丁目10-9 1F)
参加費 2,000円
※ドリンク代別途
ご予約申込 以下フォームよりお申し込みください

2025-12-27

「みんなのごはん」刊行記念
チャン・アラさん、内藤かほりさんお話会
ありがとうございました!

12月20日(土)、本屋「文室」にて、韓国で独立書店と出版スタジオを営むチャン・アラさんと著者の内藤かほりさんをお迎えし、「みんなのごはん」刊行記念トークイベントを開催しました。アラさんの出版スタジオの門出となった本作。その最初の海外イベントを、高知の小さな個人書店である文室で開催させていただくことになったことは、今でも本当に不思議で、ありがたいご縁だったと感じています。

1部では、舞台裏の写真や動画をたくさん見せてくださり、本作りの裏側を覗かせていただきました。料理に関心の高い方が多く、質問もたくさん出て、終始あたたかい雰囲気で進行する中、料理をきっかけに思わぬところからふたつの国の文化や言葉の違いが浮かび上がるのも印象的でした。「きつね色」という表現の話から、お稲荷さんの名前の由来の話になり、「たぬきは何色ですか?」というアラさんの質問にみんなで笑ってしまったり。

2部では「みんなのごはん」に掲載されているかほりさんのレシピから「のっぺい汁うどん」をご用意させていただき、優しい味のおうどんでお腹を満たしてから、本の話から少し離れてお二人の生き方、考え方について話を広げていきました。

お二人の出会いから、国や言葉の違いを越えて友人になられた経緯、韓国の出版事情や、SNSとの付き合い方まで。参加者の方も思ったことをいつでも自由に質問できる自由なスタイルでしたが、どの話題からもお二人それぞれの個性やスタンスが自然に滲み出ていたように思います。

会が終了し、夜が更けても多くの方がそのまま残って話は尽きず……

翌日、メモ帳を見るとその形跡が。

いったいどんなお話をされていたのでしょうか。

* * *

アラさんのお名前は韓国の古い言葉で「海」の意味を持つそうです。お名前の通りその眼差しは、あらゆる境界や隔たりを軽やかに越えているように見えました。言葉が分からなければ習得し、本の作り方が分からなければ印刷所に尋ね、会いたい人には会いに行って。遥か遠くを見ているようでいながら、人が見過ごしてしまうような良さに気づき、その良さを伝えるために、丁寧に、果敢に、一冊の本という形にしていく。そして、自ら書店という場を作り、直接手渡していく。ご一緒したのは2日間の短い間でしたが、後ろからかほりさんを見守る眼差しやご家族への愛情を言葉の端々から感じ、その原動力は野心というよりも、愛情に近いものなのかもしれないと思いました。


通りすがりのワンちゃんが一直線にアラさんのもとへ

また、出版スタジオとして船出をされるにあたり「一冊目の本は信じられる友人と作りたかった」というアラさんの言葉も心に残っています。実際にかほりさんとお会いして、自然体で周りの人を和ませてくれる柔らかい空気の奥に、しっかりと芯を持った方なのだと感じました。「みんなのごはん」はこんなお二人によって丁寧につくられたやさしいレシピ本ですが、当日のお二人の様子を見て、参加者の皆さんもこの本がどのようにして生まれたのか、言葉以前に感じ取れる部分が多くあったのではないでしょうか。

イベントから一週間が経ち、参加者の方々から次々とご感想をいただいていますが、今までで一番アットホームだったというお声と、「とても刺激を受けた」というお声が多く届いています。私自身、なぜ本屋という場所を作ったのか、なぜイベントを開催するのかということを、今一度考えてみる良い機会になりました。

本という静かで動かないものを取り扱ってはいますが、ずっと「本は人です」と口癖のようにお伝えしてきました。結局、本を介して、人を紹介したいのだろうと思うのです。自分の生活圏のすぐ隣に、こんな人がいるのだと。

本を紹介した時点ではそのたった一歩目、それでも大きな一歩ではありますが、実際に書いた人、作った人に会ってみることが千倍くらいの意味を持つことがあります。
その瞬間が実現するためには、場をひらく人がいて、ゲストとしてお越しくださる方と、会いに来てくださる方々、その皆さんがそれぞれに何もわからない段階で、先に主催者を、ゲストを、お客さんを、人を「信じてみる」必要があります。

まず、信じてみる、会いに行ってみる。その先にしか生まれない、あたたかな連鎖。
かほりさんのレシピの優しい味のおうどんを啜りながら、その実践を、お二人と皆さんに見せていただいたような夜でした。この小さな一夜の交流からそれぞれの人生の角度がほんの少し変わったであろうことを思い、そのズレがどんな変化になっていくのか、これからまた楽しみです。

* * *

今回、イベントの記念品として、ホリナルミさんのイラストがかわいいポストカードセットとハンドタオルをご用意くださいました。
初回特典のカレンダーも、大手ショッピングサイトからの購入では入手できない小さな書店のみの特典なのだそうです。(愛!)

2025-12-05

12/20(土)「みんなのごはん」刊行記念
チャン・アラさん、内藤かほりさんお話会

本屋「文室」にて、2025年最後のトークイベントのお知らせです!

10月に韓国で出版された『みんなのごはん』の刊行を記念して、韓国・ソウルで独立書店と出版スタジオを営むチャン・アラさんと、京都からは著者の内藤かほりさんのお二人をお迎えします。かほりさんにとっては初めてのトークイベント、アラさんは慣れない日本語での進行ということで、堅苦しくなく、お二人を囲んで皆さんでわいわいお話しできたらと思います。

日本のやさしい家庭料理を韓国の方に紹介するために刊行された『みんなのごはん』は、日本ではまだ取り扱いの少ない本です。アラさんとは文室がオープンする前からご縁があり、本のご紹介とあわせて、このような機会をご用意させていただけることになりました。

本のレシピやコラムは韓国語・日本語併記で書かれているため、韓国語がわからない方もお楽しみいただけますし、学習中の方にはうってつけのレシピ本になっています。
初回特典としてホリナルミさんのあたたかいイラストの2026年のカレンダーもついてきます。(数量限定です)

はるばるお二人にお越しいただける貴重な機会ですので、より多くの方にご参加いただけるよう、ゆっくり2回に分けての開催になります。

■ 1部(16:00〜17:30)※ドリンクつき

『みんなのごはん』が生まれるまで

お二人の出会いから、本ができるまでの経緯を伺っていきます。
文化やことばの違いを越えて形になっていった背景や、かほりさんが保育園のお仕事の中で日々実践されている子どものごはんづくりの工夫にも触れながら、写真・編集・デザインなど、本づくりのすべてを手がけられたアラさんの丁寧な制作の裏側についても、たっぷりお話しいただきます。

■ 2部(19:00〜20:30)※軽食つき

イメージを形にしつづけること

自身の世界観を本や料理、空間づくりなど、具体的な形として丁寧に落とし込んでこられたお二人に、その実践について伺います。かほりさんには暮らしの中で育まれてきた自分のスタイルや日々のインスピレーションについて。アラさんには、書店やオフラインの読書会、紙の本など、体験できる場所や物をどんなふうに形にされてきたのか、先月からソウルで始まった新しい場づくりについてもお聞きします。

どちらの会も、参加者の皆さんも自由にお話に加わっていただいて、アットホームな会にできればと思っています。レシピや本の感想などもどんどんお話しください。夜の部では「みんなのごはん」のレシピの中から実際に、雨風食堂の食事担当が軽食を少しご用意させていただく予定です。また、1部と2部と、それぞれ別ににアラさんから『みんなのごはん』のイラストを使った記念品をご用意いただけるそうです。こちらもどうぞお楽しみに!

イベントのご予約と一緒に書籍のご予約注文・発送も承ります(カレンダーつき)。
当日のご参加が難しい方も、書籍のみのご注文も可能です。
この機会にぜひご注文くださいね。

『みんなのごはん』

모두의 식탁

著者:内藤かほり
挿画:ホリナルミ
翻訳:神田彩羅
発行者:チャン・アラ
出版社:Wordmap Books
価格:2,200円(税込)

『みんなのごはん』は、焼く・揚げる・炒める・煮るといった基本の調理法で仕上げられる30種類の家庭料理を紹介しています。特別な道具や難しい技術がなくてもおいしい一皿が作れるので、料理を始めたばかりの方はもちろん、忙しい日々のなかで手軽に日本の家庭料理を楽しみたい方にも心強い案内役となってくれる一冊です。

レシピには日本の台所でよく使われる食材を中心にしながらも、韓国のスーパーでも手に入るものを選んでいます。なじみ深い食材を使いながらも新しい味に出会える楽しさがあり、身近な材料で気軽に日本の食卓の雰囲気を味わえます。作り置きして何度かに分けて楽しめる小さなおかずも収録し、「今日のひと手間が明日の食卓を豊かにする」そんな暮らしの知恵も自然と身につきます。

さらに、この本の魅力はレシピのあちこちに散りばめられた料理のヒント。食材の扱い方や台所に流れる生活のリズムなど、日本の暮らしぶりを垣間見ることができます。韓国語と日本語を併記した構成は、実際の料理表現を自然に学べる特別な体験となり、ことばと料理を一緒に味わう喜びを届けます。

『みんなのごはん』は、子どもも大人も一緒に楽しめる料理本であり、家庭で囲む温かなごはんの価値や文化を伝える実用書です。日本のありふれた家庭に流れる日常の物語を辿っていくうちに、毎日の食卓が少しだけやさしく、そして豊かな場所へと変わっていく瞬間に出会えるでしょう。

///  ゲスト  ///

チャン・アラ

ソウルで書店「始まりの書店」と出版社「文字の地図」を運営しています。韓国と日本を“本”でつなぎ、さまざまな文化交流をつくっていくことを目指しています。@prologuebook.seoul@wordmap.books

皆さま、こんにちは。『みんなのごはん』の発行者であり、企画・制作を担当した張アラと申します。著者の内藤さんは、私にとって著者である以前に、本を作りたいという強いインスピレーションを与えてくれた尊敬すべき存在であり、良き友人でもあります。
今回の本は日本の家庭料理を扱っていることもあり、日本の読者の皆さまにも、かほりさんの端正で素朴な暮らしがしっかり伝わるよう、心を込めて制作しました。
日本で直接この本をご紹介するのは初めての機会となりますので、皆さまと良い時間を共有できることを心から楽しみにしております。

内藤かほり

京都で生まれ育ちました。料理をしていた祖父母の影響を受け、調理師の道を歩み始めました。現在は調理師として8年目になり、子どもたちのために健康でおいしい給食づくりに取り組んでいます。また、SNSを通して料理や日常など、自分の好きなものを韓国や日本のフォロワーの皆さんと共有しています。 @__bang6

皆様、はじめまして。『みんなのごはん』著者の内藤かほりと申します。
私は普段ひとり暮らしをしながら、京都市内の保育園で給食調理を担当する調理師として働いています。このようなイベントに参加させていただくのは初めてで緊張しておりますが、最後まで楽しくお話しできればと思っております。また、このような機会を設けてくださった文室様にも感謝申し上げます。今回のイベントでは、アラさんとの出会いや本づくりに至った経緯、掲載されているレシピについて、そしてレシピ本制作の裏話などもお話しできればと思っております。お越しくださった皆様にとって、良い一日となりますように。

///  日時・ご予約  ///

開催日 2025年12月20日(土)
時間 【1部】
Open / 15:30
Talk / 16:00 – 17:30

【2部】
Open / 18:30
Talk / 19:00 – 20:30

場所 文室 @_bunshitsu
(高知市南はりまや町1丁目10-9 1F)
参加費 1部 2,000円 ※ドリンクつき
2部 2,500円 ※軽食つき
通し参加 4,000円

・それぞれに記念品あり
・お支払いは現金のみです

ご予約方法 以下フォームよりお申し込みください

雨風食堂・文室でも承ります

2025-10-21

『トピーカ・スクール』トークイベント
ありがとうございました!

8月30日(土)、本屋「文室」にて、『トピーカ・スクール』(明庭社)刊行記念トークイベントを開催しました。ほんとうに遅くなりましたが、お越しいただいた皆さま、ゲストの皆さま、改めましてありがとうございました。

左から白岩英樹さん、川野太郎さん、家田真也さん

いつもイベントの直後というのはたくさんの言葉が舞い上がっていて、ひとつひとつを捕まえて編んでいけるようになるまでに時間がかかるものですが、このイベントに関してはその言葉の数がこれまでのどのイベントよりも膨大で、こうして振り返って落ち着いて文章を書けるようになるまで、とりわけ時間がかかりました。
今でも、書けるようになった、という気はしていないのですが、いつまでも長い夏にかまけてはいられないですね。(今これを書いている10月下旬でも高知は半袖の日が続いていますが)

『ぼくらの「アメリカ論」』のトークイベントなど、日頃からお世話になっている白岩英樹さんから解説を執筆された「トピーカ・スクール」をご紹介いただいたのは、まだ夏の初めの頃だったでしょうか。ひとり出版社「明庭社」を立ち上げられた家田真也さんの船出の本、ということから勝手にイメージしたのはもう少し軽やかな本だったのですが、実際に手元に届いた本の佇まいに襟を正すとともに…正直なところ、この辺境の小さな店でお三方をお招きしてトークイベントを開催することについては、一抹の不安がありました。

人文系の本が中心でほとんど小説というものを取り扱っていない文室で、小説、それもアメリカ文学、しかも一筋縄ではいかないベン・ラーナー渾身の作ということで、果たしてここからどれだけのお客さまに届けられるかどうか。馴染みのないジャンルだけどちょっと読んでみようかな、と軽い気持ちで手を出すことも、なんとなく許されなそうな本です。

けれど美しい装丁

まずは一周読み通してみると、とても立体的で奥行きのある、入り組んだ要塞のような世界が、破綻寸前の膨大な言葉によってギリギリの美しさと秩序を保ちながら築き上げられていました。あらゆる言葉が扉であり鍵なのではないかと予感させられ、たくさんの人物の声が輪唱のように鳴り続け、連綿と続く言葉の樹海に分け入るような、タフな読書でした。まるで、複雑な世界をまるごと言葉で描写しきろうとしているようです。

この本から受ける印象のどこまでが原作者によるもので、どこからが翻訳によるものなのかが気になり、ベン・ラーナーの前作と、翻訳家の川野太郎さんの他の作品もいろいろと取り寄せて拝読してみました。当然といえば当然ですが、やはり作者や作品によって、文体から届くイメージは大きく異なります。それでも各作品に共通すると感じられる部分が、川野さんの翻訳ということなのだろうと。

白岩先生の著作も

そして、原文の手触りの残る翻訳全体から私が受け取った印象は、誠実さでした。誰かの大切なものを取り扱う時に最大限、そのものが元々持っているものを損なわないよう細心の注意を払う態度。たとえその言語の話者でない読者にとって多少理解にコストのかかる表現になったとしても(勿論そこにも意識は注がれながら)、その一文の持つ力や美しさを損なわず、かつ、作品全体を読んだ時に残る印象も可能な限り同じになるように、一語一語、真摯に向き合われている姿勢を感じました。

原文を知らないまま翻訳された文章を読むというのは、目隠しされた状態で翻訳者に手を引かれて見えない世界に入っていくようなものです。その手を信頼できたからこそ、作品の世界に没頭することができたのだと思います。

とはいえやはり気が小さいもので心配も残りましたが、蓋を開けてみてびっくり。「トピーカ・スクール」はこの小さなお店からたくさんの方の手に渡っていき、トークイベントもふたつの部屋が埋まるほど、多くの方にお越しいただきました。

作品の内容についてのお話のほか、お三方の出会いや命を削って翻訳されていた時の様子、装丁についてなど、たっぷりお話しいただきました。最後は川野さんによる朗読も!

もう一冊、今回あわせてお取り扱いさせていただいていたのが、川野さんがデザインまですべてを手がけられた散文集「百日紅と暮らす」(Este Lado)です。
こちらは「トピーカ・スクール」とは対照的な作品で、ご本人が書かれる日々の断片は、端正でありながら風通しよくのびやかな文体で、キャンディの包みを開けるように一日一日、パッと開いたところを一日分だけ味わって読む、という読み方をして楽しみました。(何度も同じページを開く時もあるのですが、何度読んでもおいしいので)
ギターのように言葉と付き合っている方なんだなぁと感じ、なんだかとても励まされる本で、まさに百日紅の頃に「百日紅と暮らす」と暮らした夏になりました。現在は当店では完売、川野さんのお手元でも品切れの状態のようですが、また増刷される日を楽しみにしています。

「トピーカ・スクール」とのコントラスト

サインものびやか

そしてなんと、今回のイベント用に参加者の皆さんへのプレゼントとして、川野さんお手製の小さな折本を持ってきてくださいました。直前までお申し込みが続き、足りなくなったので当日お店に到着されてからもハサミでちょきちょきと。この軽やかさ!

「トピーカ・スクール」の翻訳中だった一年前あたりの日記で、「土佐日記」(紀貫之の屋敷跡は雨風食堂のすぐそば)を買ってるんです!と話してくださいましたが、森田療法の森田正馬氏も高知ですね!

川野さんの日々の断片の続きはnoteで読むこともできますし、神戸の「自由港書店」さんのWebマガジン「自由港」では連作小説「波と楽器のあいだ」も連載されています。

今年の夏は「トピーカ・スクール」をフォーカスする登場人物を替えて何度も重ねて読みながら、山登り中の行動食のように「百日紅と暮らす」を読んで過ごし、トークイベント終了と一緒にひとつの季節が終わったような気持ちになりました。

ですが、白岩先生も解説で書かれているように、何度読んでも読み終えたという気にさせないのが「トピーカ・スクール」です。むしろ、読み重ねるごとに解像度が上がり、新たに気づくことも気になることも増え、読めば読むほどまた異なった景色が見えてくる、何度読んでも、何年経っても、決して消費されない力を持った本だと感じています。

イベントは終わりましたが、そこからまたそれぞれの読書がふたたび始まり、本を手に取られた方々の中でその後どんなふうに小説が続いていったのか、それぞれの「トピーカ・スクール」についても、またお店でお話を聞かせていただけたら嬉しいです。この一つの区切りが、もう一つの始まりになりますように。

イベントのために届いたお花。この中のアイビーは今も文室で育っています。

空港に行く前に海へ

石を探す川野さんと家田さん

* * *

すべてリリースしたと思っていたのに
ポケットに入っていた石ひとつ

2025-09-20

10/14(火) 光嶋裕介さん 青木真兵さん
お話会「記録をひらく」
旅や日常をアーカイブ(記録)する
方法と意味について

昨年10月13日に雨風食堂で開催しました『ぼくらの「アメリカ論」』トークイベントから、ほぼ1年振りとなる10月14日、「建築のはじまり」(左右社)を刊行された光嶋裕介さんと、「山學ノオト6(二〇二四)」(エイチアンドエスカンパニー)を刊行される青木真兵さんをお招きして、本屋「文室」にてお話会を行います!お二人でのトークは往復書簡本「つくる人になるために」(灯光舎)刊行記念イベント以来になります。初の平日の夜開催ということで、アットホームな雰囲気になることを予想しています。車座になって皆さんでわいわいお話しましょう。
イベントのお申込と同時に一足先に書籍のご注文も承ります。読んでから参加されたい方は事前のお渡しも可能です。当日はサイン会も予定していますので、ご購入の書籍はぜひお持ちください。

建築のはじまり

光嶋裕介の旅とスケッチ2007-2024

著者:光嶋裕介
出版 :左右社
価格 :3,520 円(税込)

世界を旅して目で見て、
肌で感じ、手で考えた17年間!

17年前、ベルリンでの建築修行時代に、ふと見つけたモレスキンのスケッチブック。
それ以来、あらゆる旅にはその黒いスケッチブックがいつもそばにあった。
サグラダ・ファミリア、ユニテ・ダビタシオン、パンテオン、キンベル美術館、ファンズワース邸、グッゲンハイム美術館、東大寺南大門……。
熱い想いを胸に訪れ、その場所に立ち、素手で吸収した名建築のリアリティ。
175点のスケッチに、空間と土地を感じ、建築の佇まいをめぐるショートエッセイを添える。

山學ノオト6(二〇二四)

著者:青木真兵、青木海青子
出版 :エイチアンドエスカンパニー(H.A.B)
価格 :2,530 円(税込)

「声が発されることは弱さではなく、生きる術なのだ。」

奈良県東吉野村。人口一五〇〇人の村の山あいに佇む一軒家、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」。自宅を開放して図書館を運営する夫婦の日記集最新刊。2024年の一年間の記録に、エッセイを二本収録。またもや過去最大のページ数で刊行。

太古の壁画に始まり、現在はスマートフォンの中から世界中へと、個人が生の痕跡(アーカイブ)を文字やイメージ、その他あらゆる方法でリアルタイムに発信し続けています。
膨大な他者の人生、思考、イメージが絶えず手のひらから流れ込んでくる今、自分の輪郭を確かめるために改めて大事だと思うのも、やはり自分で自分を記録することだと再認識しているこの頃です。
一見動いていないようにも、同じことを繰り返しているように見えても、すべては少しずつ変化し、長い時間の中では驚くほど変わっていきます。その時その経験(データ)だけでは気付きようのないことも、ぐっと離れて長い時間軸で観測すれば見えてくることがあり、そうすることでしか浮かび上がらない文脈があります。
お二人もまさに日記とスケッチというそれぞれの仕方で、膨大な個人の記録を長い間残し続けておられ、今回刊行された書籍はいずれも受け手に発信するためではなく、ひたすらに個人の日々の記録、旅の記録、自己との対話が綴られた本です。

個人を記録し続けること。
そして、その記録を実体を持った書籍という形で永遠に公開すること。
私を公にひらくとはどういうことなのか、この日はその部分についてもお話を伺ってみたいと思います。

***

『つくる人になるために』(灯光舎)のツアーをさせてもらって以来、
大好きな雨風食堂さんが、高知市内に「文室」という新しい居場所をつくったと聞いて、すぐに行きたいと思った。心より楽しみにしています。

--光嶋裕介さんより

このたびは「文室」のご開店、おめでとうございます!
僭越ながら、私の好きな言葉を送ります。
「うまくいえないけれど、宝物だよ」

--青木真兵さんより

///  ゲスト  ///

光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ)

1979年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。建築家。一級建築士。博士(建築学)。早稲田大学理工学部建築学科修了。ドイツの建築設計事務所で働いたのち2008年に帰国、独立。建築作品に内田樹氏の自宅兼道場《凱風館》、《旅人庵》、《森の生活》、《桃沢野外活動センター》など。著書に『ここちよさの建築』(NHK出版 学びのきほん)、『これからの建築―スケッチしながら考えた』『つくるをひらく』(ミシマ社)、『建築という対話 僕はこうして家をつくる』(ちくまプリマー新書)、『増補 みんなの家。―建築家一年生の初仕事と今になって思うこと』(ちくま文庫)などがある。

青木真兵(あおき・しんぺい)

1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークとしている。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」として開きつつ、複数の組織でPodcastを立ち上げたり、執筆活動を行ったりしている。著書に『武器としての土着思考』(東洋経済新報社)、『手づくりのアジール』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)などがある。
人文系私設図書館ルチャ・リブロ https://lucha-libro.net/

///  日時・ご予約  ///

開催日 2025年10月14日(火)
時間 OPEN 18:00
START 19:00
CLOSE 21:00
場所 文室 @_bunshitsu
(高知市南はりまや町1丁目10-9 1F)
参加費 2,000円
※ドリンク代別途
ご予約申込 満席になりました
以下フォームよりお申し込みください